◆異世界で闇落ち妃になった私は処女のまま正義と戦いあの女に必ず復讐する

◆高1で16歳の憂理(ゆうり)は同級生・愛流(あいる)の罠にかかり呪いをうけ異世界ネイチュへ送られる。その復讐のためにネイチュを支配するアルマ帝国の皇太子アキと形だけの結婚をする。

4.手錠をかけられてもかまわない

オーヤと呼ばれた男は黒い目をしており、同じ色の短い髪を天に向かって立たせている。  手首を内側であわせると私に向け、攻撃体勢を取った。  声を低くする。 「飛翔、どけ。その女を殺す」 「憂理は、アルマに利用されただけだ」  飛翔は私を背にしてオーヤから守る。  オーヤは私から目をそらさない。 「その女は町の大小を問わず破壊を繰り返してきたんだぞ。一万人以上が住む町と家財を失った。家族や土地と引き…

3.飛翔との再会

 敵というのは、我々、アルマ帝国の統治に従わない者たちのことをさす。  もっとも厄介なのが、イシュリンという人物だ。  年齢は、アキと同じで二十歳。  五年前、皇帝が自らを信仰の対象とするために神殿を廃止した際、逃れた最後の神官だった。  以来、“抵抗する者たち”――レジスタンス――を集めて指導者となり、ネイチュの大部分をしめる深い森の中に拠点を置いていた。  神官は神と対話する立場にあり、特別…

2.”処女の妃”と呼ばれて

 ーーー  あれから、どのぐらいの時が過ぎたのだろう――。  私はここでの生活に慣れるよりも早く、魔力についての知識をすべて身につけた。  それは、この世界ネイチュでは呼吸をするよりも大切なことだった。  すべての魔力の基本は魔法陣だと教えられた。  まずは、攻撃したい対象を中心にして円を描く。  これでタ-ゲットにされた存在は、その場から動けなくなる。  次に、その一メ-トル外側へ円を描くこと…

1.普通の人間だった私との永遠の別れ

飛翔は私と同じ高一で、意志の強い目が印象的なイケメンだった。  スポーツは何でも得意にしている。  何より性格がいい。  裏表がなく、誰と接しても態度を変えることはない。  思いやりがあり、とても優しかったが、正義感は人いちばい強く、曲がったことに対してとことん立ち向かう勇気があった。  やがて、クラスの女子のあこがれの的になった飛翔は“理想的な王子さま”と噂されるようになった。  何かが起きた…